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税理士からのアドバイス

第33回 損害保険金にかかる税金

Q. 私は個人で飲食業を営んでいます。このたび、集中豪雨により厨房機器が浸水してしまい、使用できなくなったため廃棄しました。この厨房機器の帳簿価額は350万円でしたが、保険会社からは500万円の損害保険金が支払われました。所得税の取扱いとして正しいのは次のうちどれでしょうか?

  1. 所得税はかからない。
  2. 500万円と350万円の差額150万円が事業の収入として所得税の対象になる。
  3. 350万円は事業の必要経費とし、500万円は事業以外の所得(一時所得)として所得税がかかる。

A.1.が正解です。受け取った保険金の所得税は非課税です。
差額の150万円についても所得税の対象になることはありません。

1.損害保険金の収入

所得税法には「突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得する損害保険の保険金は非課税とする」と規定されています。これは、事業用の固定資産について受取った保険金も同じです。
損害を受けた厨房機器の帳簿価額350万円よりも、保険金500万円が上回っていますので、差額の150万円については何らかの税金の対象になるのではないかという感じがします。しかし、そもそも受取った保険金500万円が非課税なのですから、厨房機器の帳簿価額を超える150万円についても所得税の対象になることはありません。

2.厨房機器の帳簿価額350万円の取扱い

次に廃棄した厨房機器の処理です。通常、厨房機器のような事業用の固定資産が災害等によって全損してしまった場合には、帳簿価額の350万円が必要経費になります。
しかし、事例の場合には厨房機器の損失によって保険金を受け取っており、その保険金が非課税となりますので、厨房機器の帳簿価額をそのまま必要経費にするというわけにはいきません。この場合に必要経費にできるのは保険金をマイナスした部分だけであり、事例のように帳簿価額を超える保険金を受け取っているときの必要経費はゼロということになります。

3.事業の収入にしなければいけない場合もある

 損害保険の保険金であっても、事業の商品の補償や休業補償金など、事業の収入に代わるものや経費を補てんするものは収入に計上しなければいけません。商品の損失や休業期間中に発生する人件費等の経費は、必要経費になるため、これらの保険金は収入として両建てする必要があるというのがその理由です。

4.法人であれば収入と損失

以上は個人事業=所得税の取扱いです。前回も述べたとおり、非課税の規定というのは所得税特有のもので、法人税にこのような取扱いはありません。保険金を受け取ったのが法人であれば、500万円を収入とし350万円を損失に計上することになります。

法人なかま 2011年12月号掲載