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税理士からのアドバイス

第32回 税金は税法だけではわからない

Q.宝くじの裏面には「当せん金には所得税がかかりません」と書いてあります。念のため所得税法を調べてみましたが、そのような規定は見当たりません。
どういうことでしょうか?

A.当せん金附証票法という法律に「当せん金附証票(宝くじのことです)の当せん金については、所得税を課さない」と定められています。

1.所得税の非課税

所得税では、本来は税金のかかる所得であるけれども、課税するのに適さないものは非課税所得として税金を課さないことにしています。例えば、損害賠償金やサラリーマンの通勤手当などがこれにあたります。このように、非課税所得として無条件に申告しなくていい所得があるのは、法人税にはない所得税の特徴です。所得税は生身の人間が稼いだものに課税する税金ですから、無慈悲といわれる税法も幾分かは配慮しているということでしょう。

2.税法の規定

どういう所得が非課税になるかは税法をみればわかるはずです。所得税に関するものですからまずは所得税法です。所得税法の9条には18種類の非課税所得が列挙されており、10条、11条にも非課税所得の規定があります。また、そのときどきの政策を税金に反映させるための法律である租税特別措置法にも約20種類の非課税所得が規定されています。

3.税法以外で定める非課税

  ところが、これらの規定のどこをみても「宝くじの当せん金を非課税とする」とは書いてありません。実は税法とは全く関係のない、当せん金附証票法という法律に「当せん金附証票の当せん金については、所得税を課さない」と定められているのです。このように、税法以外の法律に非課税所得の規定を設けているものが他にもたくさんあり、若干の例を示せば以下のとおりです。税法だけを読んでも所得税を理解できないのですから、何ともやっかいな話です。

〈税法以外で定める非課税所得の例〉

  • 健康保険、国民健康保険の保険給付・・・健康保険法、国民健康保険法
  • 失業給付・・・雇用保険法
  • 労災の保険給付・・・労働者災害補償保険法
  • 障害年金、障害手当金及び遺族年金・・・厚生年金保険法(基礎年金は国民年金保険法)
  • 生活保護の保護金品・・・生活保護法
  • 子ども手当・・・平成23年度における子ども手当の支給に関する特別措置法
  • 高校無償化の支援金等・・・公立高等高校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律
  • サッカーくじの払戻金・・・スポーツ振興投票の実施等に関する法律
法人なかま 2011年11月号掲載