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税理士からのアドバイス

第29回 税制改正はどうなったのか?

Q.平成23年度税制改正法案の成立が遅れているようですが、現在どのような状況にあるのでしょうか?

A.当初の改正法案のうち一部は6月に成立しましたが、法人税率の引き下げや相続税の課税強化など主要な改正項目の多くは先送りになり成立の目処はたっていません。

1. 平成23年度制改正法案

税制改正法案は、例年「所得税法等の一部を改正する法律案」*1として国会に提出され、年度末の3月に成立するのが通例です。今年も1月25日にこの法案が国会に提出されたのですが、ねじれ国会のもとで成立が危ぶまれていたところ、さらに会期中に東日本大震災がおこってしまいました。3月末に期限切れになってしまう規定について、いわゆる「つなぎ法」で期限を6月末に伸ばし現状維持を確保しただけで、その後税制改正の審議はストップしたままになっていました。

*1地方税関係は「地方税法等の一部を改正する法律案」

 

2. 成立した税制改正法案

ところで、「所得税法等の一部を改正する法律案」には、所得税法、法人税法、相続税法など様々な国税に関する改正項目が盛り込まれています。これらの中には改正することに反対のないものも含まれているのですが、1本の法案ですから一部だけを成立させることはできません。

そこで、改正項目の一部だけを取り出して「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法案」*2という長い名前の法案が6月10日国会に提出され、22日に成立しました。この法案によって当初の改正法案の一部が成立し、その他は先送りになったということになります。それぞれ主要な項目は表1のとおりです。

*2地方税関係は「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備 を図るための地方税法等の一部を改正する法案」

税法の区分 改正の内容 成立 先送り
国税通則法 納税環境整備  
所得税法 給与所得控除の縮小  
成年扶養控除の縮小  
退職所得の2分の1課税の制限  
認定NPO法人に対する寄附金の税額控除  
年金所得者の申告不要制度  
法人税法 法人税率の引下げ  
青色欠損金の繰越控除の期間延長、一部制限  
減価償却の定率法償却率の引下げ  
雇用促進税制の創設  
消費税法 仕入税額控除の95%ルールの制限  
免税事業者判定の制限  
相続税法 相続税の税率アップ  
相続税の基礎控除の縮小  
死亡保険金非課税制度の縮小  
相続時精算課税制度の見直し  
贈与税率の見直し  
法人なかま 2011年8月号掲載