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税理士からのアドバイス

第27回 災害損失特別勘定

Q.当社は不動産賃貸業を営んでいますが、3月11日の大震災により賃貸建物の壁面が一部損壊し修繕をしなければいけません。当社は4月決算なので4月中に修繕をしたかったのですが、5月以降にずれ込んでしまいました。この修繕費用を平成23年4月期の損金として処理することはできないでしょうか?

A.修繕が行われていなくても被災から1年以内に行われる予定の修繕見積額を「災害損失特別勘定」として平成23年4月期の損金にすることができます。

1. 災害損失特別勘定とは

東日本大震災に関する修繕費用については、「災害損失特別勘定」という特例措置が国税庁より4月20日に公表されました。これはかつて阪神淡路大震災の時にも認められた措置です。

本来修繕費用は実際に修繕を行ったときの損金となります。そうすると、貴社のように震災直後に決算が到来する会社の場合には、被災した事業年度で修繕費を計上できないケースがあります。そこで、決算後に修繕をすることが見込まれるのであれば、被災した事業年度において修繕費の見積額を損金として認めようというのが「災害損失特別勘定」の趣旨です。貴社の場合、修繕見積額を平成23年4月期の損益計算書の特別損失の部に「災害損失特別勘定繰入」、貸借対照表の負債の部に「災害損失特別勘定」として計上すれば平成23年4月期の損金として処理できます。

2. 留意点

災害損失特別勘定を設定する際の主な留意点は以下のとおりです。

  1. 東日本大震災により被害を受けた棚卸資産および固定資産の修繕費用であること。
  2. 災害のあった日から1年以内に支出すると見込まれる修繕費用であること。
  3. 保険金、補助金等によって補てんされる場合にはその金額を控除すること。ただし査定に時間がかかるなど保険金額の見積りが困難なときは控除しなくてもよい。
  4. 申告書に「災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書」を添付すること。

3. 修繕費用の見込額

対象となる修繕費用の範囲については次のとおり定められています。

  1. 被災資産の取壊し又は除去のために要する費用
  2. 被災資産の原状回復のために要する費用(被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れ防止等のために支出する費用を含む)
  3. 土砂その他の障害物の除去に要する費用その他これらに類する費用
  4. 被災資産の損壊又は価値の減少を防止するために要する費用

修繕費用は合理的な見積額によります。自社に専門家がいればその見積計算によることも認められますが、一般的には建設業者等の専門業者に見積りを依頼することになるでしょう。

この措置は今回の大震災に適用される暫定的な特例です。詳細は、国税庁のホームページに取扱いを定めた通達と質疑応答事例が掲載されていますのでご確認ください。

法人なかま 2011年6月号掲載