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税理士からのアドバイス

第18回 消費税の逆進性

Q.消費税率引き上げをめぐる議論が話題になっていますが、消費税には逆進性があるので問題だといいます。消費税の逆進性とはどういうことでしょうか?

A.大辞林では「逆進性」を次のように説明しており、消費税についての記述がありますので引用します。

「それぞれが逆の方向に進む傾向。例えば、消費税率が上がると低額所得者層は収入に対する食料品などの生活必需品購入費率が高い分、高額所得者層よりも税負担率が大きくなる。」ということです。

1. 消費税の逆進的とは

消費税は消費をしたときにかかる税です。通常、消費する"額"は高額収入の人ほど多いので、消費税を負担する"額"は高額収入の人が大きくなります。
 しかし、収入のうち消費にあてる"割合"で考えてみると、低額所得者ほど消費する割合は大きくなるでしょう(貯蓄にあてる割合が少ないということ。)。したがって、収入に対して消費税を負担する"割合"は、低額所得者のほうが高くなってしまいます。
 消費税率5%の場合、たとえば、100の収入の全部を消費してしまえば(貯蓄にあてるお金のないぎりぎりの生活)、収入に対する消費税の負担率は5%です。一方、収入の半分を消費し、残り半分は貯蓄に回している人の負担率は2.5%ということになります。
「収入階級別の実収入に占める税負担」という統計数値が財務省から公表されています。この数値をみると、収入が増えるにつれて税負担割合は大きくなるのに対し、これとは逆に消費税の負担割合は収入の増加に伴って低くなっているのがわかるかと思います。

収入階級別の実収入に占める税負担 (平成19年分)
実収入 税負担額 うち消費税 税負担割合 うち消費税
311万円 23万円 9万円 7.3% 2.9%
463万円 37万円 11万円 7.9% 2.4%
566万円 48万円 13万円 8.5% 2.3%
686万円 69万円 16万円 10.0% 2.3%
1,182万円 175万円 23万円 14.8% 1.9%

2. 逆進性緩和の方法は?

 逆進性緩和の方法としては、生活必需品の税率を低くする方法や、生活必需品の消費に対する消費税相当を還付する方法、所得額の低い人に対して消費税相当を還付する方法などがあるといわれています。しかし、どの方法にも長短があり、実際に導入するのはなかなか難しいようです。次回は逆進性緩和の方法について考えてみたいと思います。

法人なかま 2010年8月号掲載