本文へジャンプ

税理士からのアドバイス

第17回 相続税の連帯納付義務

Q.昨年父が亡くなり、兄と私で遺産を相続しました。私は相続税を完納していますが、先日、税務署から「連帯納付義務のお知らせ」という通知が届きました。兄の相続税を払わなければいけないような内容ですが、私に兄の相続税を負担する義務があるのでしょうか?

A.相続税には連帯納付義務という制度があります。お兄様が相続税を滞納したまま支払い不能になってしまった場合には、相続によって受けた利益の価額を限度として、あなたがお兄様の相続税を負担しなければいけません。

1. 連帯納付義務とは

自分が相続した財産をもとに計算された相続税について納税の義務を負い、それを納付すれば相続税の課税は終了する。誰もがそのように考えるのではないでしょうか。しかし、相続税には「連帯納付義務」という制度があります。自分の相続税を完納して安心していたところに、こんな恐ろしい通知が届くかもしれないのです

2. どのようなときに連帯納付義務が生ずるのか

 連帯納付義務が発生するのは次のようなケースです。

  1. 相続した財産を、もともとあった借金の返済に充ててしまい相続税が払えなくなった。
  2. 土地を相続した相続人が相続税の延納をしていたが、その土地が値下がりしてしまい処分しても相続税を払 えなくなってしまった。他に財産はない。

このように、連帯納付義務を負うのは、相続税の支払いに充てる財産が全くない場合であり、再三の督促にも関わらず期限までに納付しないといった理由だけで、他の相続人が連帯納付義務を負うことはありません。

2. 時代遅れの制度?

相続税に連帯納付義務という制度が設けられている理由については、「遺産の分割により相続税の納税義務者と、現実に財産を取得した者との不一致が多いこと等により、本来の納税義務だけに限定してしまうことは、相続人間の税負担の公平、租税の徴収の面から適当でない。」と説明されています。

確かに、「家」制度の名残があった昭和20年代には、実際には戸主が相続しているのに、相続税負担を少なくするために、他の相続人が相続したように装う「仮装分割」が横行していたようです。

しかし、個人主義的な色彩が強い現在においては到底納得できる制度ではなく、「連帯納付義務」が納税者の理解を得ることができるとは思えません。こんな制度は早急に廃止すべきだと筆者は考えますが、いかがでしょうか。

法人なかま 2010年7月号掲載