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税理士からのアドバイス

第14回 配偶者に相続税はかからない?

Q.配偶者は遺産相続をしても相続税がかからないそうですが、それは婚姻期間に関係ないのでしょうか ?

A.民法に定める相続分(法定相続分)までの遺産相続であれば、婚姻期間の長短にかかわらず配偶者に相続税はかかりません。

1. 配偶者の法定相続分は

配偶者の法定相続分は次のとおりです。

  1. 子がいる場合・・・配偶者1/2、子1/2(父母、兄弟姉妹は相続人になれません。)

    *子が死亡して孫がいる場合には孫が相続人になります。

  2. 子がなく父母がいる場合・・・配偶者2/3、父母1/3(兄弟姉妹は相続人になれません。)

  3. 子も父母もなく兄弟姉妹がいる場合・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

    *兄弟姉妹が先に死亡して甥・姪がいる場合には甥・姪が相続人になります。

  4. 子も父母も兄弟姉妹もいない場合・・・配偶者100%

    たとえば、配偶者と子A、B、Cの4人が相続人の場合の法定相続分は次のようになります。

    • 配偶者 ・・・ 1/2
    • 子A、B、C ・・・ 1/2×1/3=1/6

2. 相続税がかからない遺産の額は

配偶者の相続した遺産の額が、遺産総額の法定相続分相当までであれば、配偶者に相続税はかかりません。 たとえば被相続人(遺産を残して死亡した人)の遺産総額が10億円で、相続人が配偶者と子供であれば、10 億円×1/2=5億円までの遺産を無税で相続できることになります。

さらに、遺産総額が少ない場合には法定相続分を超える遺産相続であっても、1億6,000万円までは無税になります。同じように相続人が配偶者と子供で、被相続人の遺産総額が2億円の場合の無税枠は、2億円× 1/2=1億円ではなく1億6,000万円となります。

2. なぜ配偶者は優遇されるのか

なぜ配偶者の遺産相続はここまで優遇されているのでしょうか。その理由は一般に次のように説明されています。

  1. 同一世代間の財産の移転で、遠からず次の相続があり、その際に相続税が課される。
  2. 遺産の維持形成に対する配偶者の貢献と老後の生活保障を考慮したもの

1.の同一世代の財産の移転という意味では、兄弟姉妹が相続人になったときにも同じことがいえるわけですが、兄弟姉妹に対する相続税は優遇されるどころか子供が相続する場合よりも高くなるようになっています。

また、2.の遺産の維持形成への貢献を理由とするならば、婚姻期間で優遇の程度に差があってもいいのではな いかという意見もあります。60年連れ添った夫婦と婚姻期間1年の夫婦で、遺産形成への貢献度が同じということはないでしょう。実際に過去には婚姻期間で優遇の程度に差を設けていたこともあったようです(昭和47年から49年)。しかし、遺産形成の過程はそれぞれの夫婦で千差万別ですし、そもそも民法の相続分は婚姻期間を全く考慮することなく定められています。相続税においても婚姻期間を基準に差を設けるのは難しいということでしょう。

法人なかま 2010年4月号掲載