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税理士からのアドバイス

第12回 相続した土地を売ったとき

Q.父親の相続財産のうちに相続税評価額5,000万円のA、B土地があります。A土地は30年ほど前に1,000万円で購入したもので、B土地は10年前に7,000万円で購入した土地です。これらの土地は立地条件、面積等の条件や利用状況はすべて同じと仮定します。子2人で相続しますが、税金を考慮した場合どちらの土地を相続した方が有利となるでしょうか?

A.どちらの土地を相続しても相続税に差はありませんが、将来売却した際の所得税を考慮すれば、B土地の方が有利となります。

1. 取得価額は相続税に影響しない

すべての条件が同じ土地など実際にはあり得ませんが、ここではそのように仮定します。A、B土地の唯一の違いは、被相続人(父親)が取得したときの価額です。

まず、A、B土地にかかる相続税ですが、相続税は相続した財産の時価(相続税評価額)に対してかかる税金です。A、B土地の相続税評価額は共に5,000万円ですから、相続税の負担は同じになります。被相続人(父親)がいくらで取得したかは相続税とは関係ありません。

2. 相続財産を売ったとき

 問題は、将来これらの土地を売却したときの所得税です。土地などの資産を売却した際の所得税は、その売却益に対して課税されます。

[売却価額-取得価額-売却に係る費用=所得税の課税対象]

相続した財産を売却した場合、上記算式中の取得価額は被相続人(父親)が購入した価額となります。相続税が課税された相続税評価額5,000万円が取得価額としてマイナスされるわけではありません。したがって、仮に7,000万円で売却した場合、A、B土地それぞれの所得税の課税対象は次のようになります。土地売却に係る税率は20%(住民税を含む)ですから、A土地売却に際しては1,200万円の税金がかかる(※)のに対し、B土地の売却には税金がかからないということになります。

  • A土地 7,000万円-1,000万円=6,000万円

  • B土地 7,000万円-7,000万円=0円

    ※相続税の申告期限から3年以内に相続財産を売却した場合には「相続税額の取得費加算」という制度により、売却に係る所得税の負担が軽減されます。

法人なかま 2011年2月号掲載