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税理士からのアドバイス

第10回 相続税の仕組み

Q.Aさんは、父親の相続により3,000万円の遺産を取得しました。相続税はいくらになるのでしょうか? 母親はすでに死亡しおり、相続人はAさんとAさんの弟Bさんの2人です。

A.相続税は、一人一人が相続した遺産の額だけでは計算できない仕組みになっています。弟Bさんが相続した遺産を含め、お父様の残した遺産全体がいくらかというのがポイントになります。同じ3,000万円の相続であっても、遺産全体の額によって税額が異なるというのが相続税の特徴です。

1. 相続税の仕組み

相続税の基本的な計算の仕組みは以下のとおりです。

表1 相続税の速算表
法定相続
分による
取得額
税率  控除額
1,000万円
以下
10%
1,000万円超
3,000万円
以下
20% 200万円
3,000万円超
5,000万円
以下
30% 700万円
5,000万円超
1億円以下
40% 1,700万円
1億円超
3億円以下
175万円 23万円
3億円超 50% 4,700万円
  1. 正味遺産を求める‥‥被相続人(死亡した人。Qでは父親)の遺した遺産から借入金等の債務をマイナスし、正味遺産の額を求めます。
  2. 基礎控除をマイナス‥‥1.の正味遺産の額から基礎控除をマイナスします。正味遺産の額が基礎控除以下であれば相続税はかかりません。基礎控除の額は(5,000万円+相続人の数×1,000万円)という算式で求めます。Qの場合、相続人は2人ですから基礎控除は7,000万円です。
  3. 相続税の総額を計算‥‥基礎控除後の金額を、相続人が法定相続分どおりに相続したと仮定して相続税の総額を計算します。QのケースではAさんBさんがそれぞれ法定相続分1/2ずつ相続したと仮定します。実際にだれがいくら相続したかはこの段階では関係ありません。なお、相続税の税率は、相続した遺産が多ければ多いほど税率が高くなる"累進税率"です(表1参照)。
  4. 各相続人に税額を配分‥‥3.で計算した相続税の総額を、実際に相続した正味遺産の割合で各相続人に配分します。

2. 同じ3,000万円の相続でも税額が違う

表2 相続人子2人の相続税額
正味遺産
全体
相続税
の総額
7,000万円
0円
1億円 350万円
2億円
2,500万円
3億円
5,800万円
5億円
1億3,800万円
10億円 3億7,100万円

相続税計算の過程で特徴的なのは、3.相続税の総額の計算では実際の相続(遺産の分割)に関係なく相続税の総額を算出してしまう点です。実際の相続は、法定相続分よりも相続人間の話し合いが優先されますので、1人が全遺産を相続することも可能です。

子2人が相続人の場合の相続税の総額は表2のとおりです。この総額を各相続人に配分するのです。したがって、正味遺産全体が基礎控除の7,000万円以下であれば、たとえ1人で7,000万円全部を相続したとしても相続税はかかりません。3,000万円の遺産を相続したAさんについてみると、父親の正味遺産全体が7,000万円以下であれば相続税はゼロ、1億円であれば350万円×3,000万円/1億円=105万円です。10億円の正味遺産のうちの3,000万円であるならば3億7,100万円×3,000万円/10億円=1,113万円もの相続税を払うことになってしまうわけです。

法人なかま 2009年11月号掲載