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税理士からのアドバイス

第8回 社宅は安い

Q.優良企業A社に勤める甲さんは、社宅に住んでいます。その社宅はA社が月10万円で借りているものですが、社宅賃料として甲さんがA社に払っているのは月1万円だけだそうです。甲さんには税金がかからないといいますが、本当にそんなことがあるのでしょうか ?

A.税務上の社宅家賃は固定資産税の課税標準をもとに計算され、相場の1割程度で問題なしとされることも珍しくありません。

1. 税金は経済的利益にもかかる

給与として所得税の課税対象になるのは金銭で支払われるものだけではありません。金銭以外の物や権利その他の「経済的利益」も金銭と同様に所得税の課税対象となります。例えば、相場よりも低額な社宅家賃や、忘年会、慰安旅行等のレクリエーション費用、通勤費、残業食事代等の手当なども、本来はすべて所得税の対象になるのです。しかし、実際には一定の理由から課税されない経済的利益は数多く存在し、社宅の家賃はその代表格といえます。

2.社宅家賃の計算方法

床面積が99(木造は132)以下の社宅の賃料は次の算式で計算されます。役員以外であれば、さらにその50%が賃料となります。これ以上の賃料を会社に払えば課税されることはないのです。

算式だけでは、実際にどの程度の金額になるのかピンとこないと思います。私がK市に所有し月78,000円で賃貸しているマンションをもとに社宅家賃を計算してみると、役員社宅で月8,872円、役員以外であれば4,436円という結果になりました。このマンションがサンプルデータとして適切かどうかは分かりませんが、社宅の家賃がいかに低く設定されているかはおわかりいただけると思います。

3. なぜ課税されないのか

社宅扱いとするためには、会社所有の住宅であるか、会社が契約者となって賃借する住宅であることが大前提となります。社宅賃料が優遇されるのは、一般の住宅と違い個人の選択の余地が少ない、会社の都合で退去を余儀なくされるなど住宅として不安定であることなどがその理由といわれています。

しかし、社宅をもつ体力のない会社が、住宅手当等の名目で家賃補助をすれば、ささやかな金額であってもすべて課税の対象となってしまうのに比較すれば、社宅は優遇されすぎだと思うのですが、いかがでしょうか。

法人なかま 2009年9月号掲載