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税理士からのアドバイス

第7回 給付つき税額控除について

Q.最近、テレビや新聞で「給付つき税額控除」という言葉を耳にします。どのような制度なのでしょうか?

A. 給付つき税額控除は、諸外国ではすでに多くの国で採用されている制度です。低所得者支援、子育て支援など目的は様々ですが、その仕組みは、例えば一定の所得以下で扶養する子供がある人などを対象に、対象者の所得税から一定金額を"税額控除"し、控除しきれない場合には、その分を給付(還付)するというものです。
わが国でも最近「給付つき税額控除」導入の議論が高まっています。

1. 所得控除と税額控除の違い

"税額控除"と似た制度に"所得控除"というものがありますので、これらを混同しないよう、まず両者の違いについて解説します。所得税の納付税額は次のように計算します。

(所得金額?"所得控除額")×累進税率=所得税額

所得税額?"税額控除額"=納税額

?"所得控除"は税率をかける前の段階での控除であるのに対し、?"税額控除"は税率をかけた後の税額から控除すること、?所得税の税率は5%?40%の累進税率で所得の高い人ほど高い税率で所得税を負担すること、の3点をご確認ください。

現在の所得税では、扶養する子供がある場合、1人につき38万円を"所得控除"しています(子供が16歳以上23歳未満のときは58万円)。"所得控除"は税率をかける前の控除ですから、実際に税額が安くなるのは、所得控除額×税率の分だけです。子供1人分38万円の所得控除で安くなる税金は、所得が低く税率が5%の人は38万円×5%=19,000円、逆に所得が高く税率が40%の人は38万円×40%=152,000円となります。"所得控除"の仕組みでは、所得の高い人=税率の高い人ほど減税効果が大きくなるということをご理解ください。

一方の"税額控除"は、文字どおり税額からの控除なので、所得の多寡によって減税効果が変わることはありません。わが国でも最近、格差や貧困の問題がクローズアップされており、高額所得者に恩恵の多い所得控除よりも税額控除の必要性を主張する声が多いようです。

2.給付つき税額控除

子供2人、所得税の負担が年間7万円の人がいるとしましょう。例えば、子供1人につき5万円の税額控除を導入したとすれば、所得税はゼロになります。給付つき税額控除では、さらに引ききれない3万円が給付されることになります。

給付つき税額控除の仕組みには、貧困対策、子育て支援、社会保険料負担軽減、消費税の逆進性緩和などの目的により様々なタイプがあります。実際に実施するには多くの課題もありますが、今後は導入に向けた議論が高まっていくものと思われます。

法人なかま 2009年8月号掲載