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税理士からのアドバイス

第5回 サラリーマンの税金は高い?

Q.「自営業者は、取引先との飲食や接待ゴルフ代を交際費でおとしているが、サラリーマンには全然認められない。不公平だ。」という声をよく耳にします。
サラリーマンに必要経費はまったく認められていないのでしょうか?

A. サラリーマンなど給与所得者は、交際費等を必要経費として収入から差し引くことはできません。その代わりに、収入から給与所得控除を引くことができます。

1. 所得税の対象は"所得"

"収入"と"所得"との違い?普段は意識することはないでしょうが、税金の世界では両者はまったく別物で、きっちり使い分けなくてはいけません。収入から必要経費を引いたものが所得です。たとえば、自営業者の売上が2,000万円で、商品原価が800万円、家賃や光熱費等の経費が300万円かかったとしましょう。この場合の収入は2,000万円、必要経費1,100万円(800万円+300万円)を引いた残りの900万円が所得となります。当然、所得税の対象は収入2,000万円ではなく、所得900万円です。所得税は、"収入"ではなく"所得"に課税するものということをご理解ください。多くのサラリーマンは給与"収入"全額に対して税金がかかっていると誤解しているのではないでしょうか。

2."所得"の計算

"所得"の計算
給与収入 給与所得控除 給与所得
100万円 65万円 35万円
500万円 154万円 346万円
1,000万円 220万円 780万円
1,500万円 245万円 1,255万円

所得税は、所得を「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得」の10種類に分類して、それぞれ所得の計算方法を定めています。サラリーマンの給料や賞与は給与所得です。ほとんどの所得は「収入ー必要経費」で計算するのですが、給与所得は「収入ー給与所得控除」で所得を求めます。必要経費の代わりに給与所得控除を収入からマイナスするわけです。この給与所得控除は、実際に使った金額ではなく給与収入に応じて定められており、最低でも65万円の控除が認められています。

3.給与所得控除は意外に高い?

表のとおり、年500万円の給与収入であれば154万円の給与所得控除が認められ、所得税の対象である"所得"は346万円になります。必要経費の代わりである給与所得控除は月13万円弱です。通勤費や営業交通費など必要経費に相当する費用の多くは会社負担であることを考えると、この控除額は決して低くはないでしょう。サラリーマンの税金が高いとは一概に言えないと思うのですが、いかがでしょうか?

法人なかま 2009年6月号掲載