趣味に興じるにはまだ若すぎる
渡邊 修男 さん (ヤマギワ株式会社 専務取締役)


ヤマギワの管理部門を率いる渡邊さん

会 社 名 ヤマギワ株式会社
主な職種 家具、インテリア雑貨、照明 器具、輸入家電等の販売
URL (ヤマギワ株式会社)
http://www.yamagiwa.co.jp/





リビナ内に展示された色あざやかな商品群





昌平橋そばのヤマギワリビナ本店

40年ほど前のことだ。秋葉原駅電気街口を中心としたエリアは、煌々と照らされた店が並び、店頭に置かれた巨大なスピーカーからは大音量の音楽が鳴る喧騒の世界だった。それが、神田明神通りを渡ると静寂感を感じるくらい一変する。そこにヤマギワがあった。ショーウィンドウは高級感を醸し出していた。

ヤマギワは大正12年山際弘文氏によって創業された。当初の業務は電線と碍子の販売であった。この年、東京は関東大震災に見舞われた。復興にヤマギワの力は大きかったろう。その後一般電材の販売へと広げた。

終戦間もない頃、電器各メーカーは販売部門を持っておらず、小売店への製品供給を秋葉原の電気機材店に頼った。この時点ではメーカーと卸の間は対等であった。しかし次第に各メーカーは卸店を傘下に収める方向に出てきた。こうなるといずれメーカーは販売部門を独自に持ち、卸店は吸収されていく流れとなる。ヤマギワはこれを看過しなかった。他の同士の店と、卸業から一般消費者向けの電器販売へと転換したのである。秋葉原はここで秋葉原電気街ともてはやされる状況となった。

しかし、ヤマギワはこれにも甘んじなかった。一般家電やパソコンソフト販売は10年ほど前にやめ、営業権は他社に譲渡した。いまでも照明を中心にした若干の家電製品は販売しているが、デザイナーブランドや海外の製品に限定している。


ヤマギワ オリジナル照明器具“MAYUHANA”

現在の主たる事業は建築における照明器具のソリューション・製造販売が中心である。現在200億超の年商があるがこのうち95%はこの事業による。顧客は公的事業主である。ヤマギワは常に付加価値の高い商品の製造と販売を求め続けている。こうした事業展開の結果、ヤマギワは今年で創業85年を迎えた。

渡邊修男さんはヤマギワの大番頭、専務取締役である。まだ60を少し超えたお歳である。現役の管理部門の指揮官として先頭に立っているから「趣味はまだ持てる状況にありません」と言う。ゴルフはするが、おそらく趣味ではなく仕事だろう。朝晩は駅から自宅まで2km徒歩だ。これも仕事を全うするための健康管理手段である。

しかし、人間休息の時間は必要だ。渡邊さんはそれを絵画・彫刻などの美術観賞に求めている。奥様も同行する。例えば箱根仙石原のポーラ美術館がお気に入りだ。ここは年4回ほど企画展を催すが、そのつど参観に行く。皆勤賞ものなのである。上野界隈にも足を向ける。国立博物館での企画展も見逃さない。今年奈良薬師寺の日光・月光菩薩が出開帳した。仏像も全身像の彫刻である。最近の展示方法は仏像をガラスケースの中に置かずオープンな空間に置くことがある。「寺では見られない仏様の背後を拝観できる、これがとても面白い」と渡邊さんは言う。

渡邊さんはヤマギワの進展を下支えする努力をこれからも続けていく。でも将来、ほっとする時間が取れたときにはきっと、蓄えた絵や造形物の知識を元に創作に励むことになる。

(2008年5月28日:取材)