“庭木いじり”で気分転換、いい汗をかく
山崎 誠さん (山崎物産株式会社 代表取締役)


「鎌倉山にある父の家の庭が息抜きの
場です」と語る山崎さん。

会 社 名 山崎物産株式会社
主な職種 家庭用、業務用刃物、小物類の卸売り。他にビル(ビオレ秋葉原)の管理




戦後、神田に出てきた頃の店舗。



ランス語の紫を意味するおしゃれ
なビオレ秋葉原。




うっそうとした緑、季節の花が咲き乱れる
庭。先代から引き継いだものだ。
 山アさんの祖父が、洋食器と刃物の町として名高い、新潟県の三条市に刃物類の卸商として創業したのが明治38年のことである。金物関連の企業が多い町、東京・神田に進出したのが戦後の昭和22年、父の代になってから。昭和通り沿いの一等地に根をおろして約60年、山アさんは刃物屋の三代目ということになる。

 現在は刃物中心の卸業として、故郷の三条市と関の孫六で名高い岐阜県関市のメーカーから製品を仕入れる。
トレードマークは天狗の面、これは創業当時からのもの。天狗が町を練り歩く、三条市に伝わる「三条祭り」にちなんだものという。

 10階建てのビル「ビオレ秋葉原」の竣工は平成元年。ビオレとはフランス語で紫、紫色のガラスを外装に使った、当時としてはかなりおしゃれなビルだった。刃物の店はこのビルの裏手にあるのだが、これにはエピソードがある。

 「親父からなぜ表通りに面したスペースで刃物屋をやらないのかと、随分怒られました。表通りには目新しい業種のドトールコーヒーが入っています。ビルのイメージ作りを考えてのこと。ゲンコツで良い悪いを教えてくれた頑固親父ですが、その時は設計図も見せず、もう契約したから駄目だよと押し切りました。私も若かったのでしょう」さて、山アさんの息抜きは「庭木いじり」であるという。先代が残してくれた鎌倉山(鎌倉市)の家の広い庭がその舞台である。

 「初めは仕方なくやっていたのですが、だんだん面白くなってきました。鋏など刃物の切れ味も試せるから、実益を兼ねた趣味といえるかも知れません。ついこの間も行ったら、鶯が鳴いていましてね。竹林では筍が採れるし、手を掛けたさつきの花も楽しみです」環境のいい邸宅地として、かつては女優の田中絹代氏など有名人も多く居住していた鎌倉山、眺めも良く、空気もおいしい。横浜に住む山アさんには、便利な別荘の感覚なのかもしれない。

 庭木いじりを続けていて、学んだことがあるという。それはチェーンソーのような機械で一気に刈るよりも、時間はかかるが、鋏で一つひとつ丹念に手を入れる方が草花にとって良いこと。

 「花の付き方が全然違うのです。愛情をかければ通じるものがあるのでしょうね」最後に会社の今後について伺うと。

 「幸いバトンタッチをする四代目も決まっています。これからは若い感覚でどんどん頭を切り替えて、挑戦していかないとだめでしょう。私は、引退して鎌倉山で庭木いじり三昧が望みだけれど、この地域の仕事が忙しくなりそうで困っています」


(2007年4月27日:取材)