夢は親子で開く油絵の展覧会
飯田 睦司さん (城北産業株式会社 代表取締役社長)


産業用マスク一筋23年を語る飯田さん。

会 社 名 城北産業株式会社
主な職種 (株)重松製作所代理店各種産業用マスクなど、労働安全衛生保護具、機器などの卸売り




安全・衛生が重視される昨今、
こうしたマスク類は現場での必需品だ。



油絵を始めて約10年、仕上がった絵はまだ
少ない。描きかけを含めて10数点という。



 安全靴メーカーに10年、安全用品メーカーに移って10年、その頃重松製作所の産業用マスクに出会う。この製品を軸にして、飯田さんが独立を決意したのは昭和59年のことだった。

 足立区で創業、程なく重松製作所の製品を扱うならその本社(千代田区外神田3丁目)に近い所へと考えて神田富山町に移る。当時は防塵、防毒マスクへの意識はまだ低く、それだけに“これからの分野”という手応えを持っていた。

 「その後マスクは用途に合わせて実に多彩になりました。たとえば三宅島の亜硫酸ガス対策用として、また半導体製造工程では必需品です。いま問題になっているアスベスト除去作業にも威力を発揮しています」さて、飯田さんのオフタイムの楽しみは、長い間旅行と写真であった。それとお付き合いで出掛けるゴルフ。これに10年ほど前から“油絵”が加わった。

 「老後にずっと続けられる、何か別の楽しみをと考えてのことです。子供の頃から絵が好きだったこともあります。中学生の時に描いた絵が何かの展覧会に入賞して、職員室にずっと飾ってあったということもありました。下手の横好きなのですが…」もちろんその当時は水彩画、春先の田園風景を描いたその絵はいま手許にはないが、イメージは鮮やかに残っていて、それを思い出しながら今度は油絵で描いてみるのだ。

 「油絵はまったくの独学です。絵の本を読んだりして。強いて言うならやはり趣味で描いている息子からいろいろ教わった。初心者用の適当な道具を見つけてきてくれて、それで始めたような訳です。息子の方が油絵では一歩も二歩も先を行っていますね」飯田さんが描くのはもっぱら風景。写真を撮ってきて、これをキャンバスに描いていく。油絵を始めて10年近くになるが、完成品は少ない。気に入らないと何度でも修正を繰り返すからだ。

 「展覧会も好きで見に行くのですが、色の素晴らしさに感動し、どうしたらこんな色が出るのかと不思議に思う、それで自分の絵を眺めてこれではいけないと描き直す」休日はゴルフなど外へ出ることが多かったが、油絵を始めてから自室にこもることが多くなった。雨の休日などは特に外に出る誘惑がないから、心置きなく絵筆を握ることができる。至福の休日となるのだ。

 「雨は嫌だという人もいますが、私にとっては大歓迎。一杯やりながら一日絵と向き合っています。ゆったりした気分になり、時の経つのも忘れます。貴重な時間ですね」同じ絵の趣味を持つ息子さんは、最初は教師を目指していたが、二代目を継ぐことに決め、卒業と同時に重松製作所に4年間勤務、戻って来たときは“マスクを売る有能な営業マン”になっていた。いまや飯田さんの片腕である。

 「夢のまた夢かも知れませんが、いつの日か息子との小さな二人展をやってみたいですね。仕事の励みになっています」


(2007年3月27日:取材)